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本社工場:佐賀県小城市三日月町石木166-1 | 展示場:佐賀県小城市三日月町堀江1755
ここ十年ぐらい集中豪雨がひどいですね。
毎年、とくに梅雨時期になると冠水道路を走行中にエンストした、再始動しない。というご入庫依頼がございます。
※冠水道路というのは、大雨・洪水などで「水没した道路」のことです。
なんで冠水道路を走るとエンストすることがあるのか?
ガソリン車を念頭に置いて申しますと、原因はおもに3つです。
発生頻度の順番で言えば、
①エンジンに取り込む空気の取り入れ口の水詰まり
②排気ガスの排気口の水詰まり
③エンジン回りの電気廻りのショートもしくはショートを感知してのエンジン停止制御発動
じゃないかと思います。
エンジンは空気を取り入れて、ガソリンと混ぜ合わせてガソリン味の空気をつくり、点火して爆発させて動きます。(あえてわかりやすいように、イメージ優先で「爆発」と表現してます)
ガソリンだけではエンジンの中で爆発してくれません。空気が必要です。「ガソリン味の空気」になることが必要なんです。
冠水道路を走ると、ガソリンと一緒に爆発させるための空気の取り入れ口(吸気口)が、水でふさがってしまいます。
空気の取り入れ口は、エンジンルームのふた(ボンネット)近くの一番上のほうに位置しています。
さらにちょっとやそっとの豪雨&横風やデカい水たまりの水はねで水が侵入しても、吸気不全にならないように上手に設計してあります。
ですが、冠水道路では、吸気口自体が水につからなくても、滝のような水はねで「どぼどぼどぼ」と水が吸気口に侵入してきます。
とくに冠水道路をそれなりのスピードで豪快に水しぶきを上げながら走行すれば、吸気口は一発で水浸しです。
ニュース映像なんかで見ますと、冠水道路での走行では水しぶきは車の外側に豪快にざざーっと跳ね上がっていますが、実はタイヤの内側↔エンジンルームの間でも発生しています。車正面での波立ちもあります。
空気の吸い込みと同時に多量の水が流れ込み、エンジンはいわば空気不足の窒息状態でエンストします。
※吸気口からの大量浸水を防ぐには、ノロノロ運転が大事ということになります。万が一冠水道路に入り込んでしまったら、早く走り抜けたい気持ちを抑えて、吸気口に水が入らないように、滝のような水はねや大波を立てないようにノロノロ運転です。
※吸気口からあまりに多くの水を吸い込んでしまって、吸気口→エアダクト→エアクリーナー→エンジン本体の燃焼室(シリンダー内部)にまで浸水すればおおごとです。その状態で万が一エンジンを再始動させようとすればエンジンが再起不能になります。
※エンジンのシリンダー/爆発の部屋/筒の中では、ピストンが下がって部屋の体積が大きくなったところで霧状のガソリン&空気の混合気(ガソリン味の空気)を取り入れています。そのあとにピストンがぐーーっと上昇しして部屋の体積を小さく狭くしています。そして爆発部屋が狭くなってガソリン味の空気が最大に圧縮されたところで点火・爆発させています。
で、混合気・ガソリン味の空気(つまりはほどんど空気・気体)だからこそ爆発部屋を広くしたり狭くしたりできるんですよね。
でも混合気・ガソリン味の空気のかわりに爆発部屋に水がいっぱいに侵入したらどうなるでしょうか?
水は圧縮されませんよね。
一方でエンジン始動時にはすごい力でピストンが上下してきます。
水は圧縮されない↔エンジンはすごい力でピストンを上げてくる→→→結果、ピストンを上下させる腕みたいな、棒みたいなロッドがふにゃりと曲がったり、エンジン中枢機構が破損したりします。
水が頭でガーンとくるのでウォーターハンマーとか業界では言います。再起不能です。
エンジンはガソリン味の空気を爆発させて動力を作り出した後、燃えカスの排気ガスをエンジン外に排出します。
そして爆発の部屋が空になったところで、再度ガソリン味空気を導入します。そして爆発させて、排出です。
排出された排気ガスは排気管/マフラーから排出されます。通常は車の後ろのバンパーの下についています。
冠水道路で排気口/マフラーが水でいっぱいになってしまって排気できなくなればどうなるでしょうか。
あっという間に排気ガスが過度な圧力でたまってしまい、エンジンが吸気&爆発できなくなります。あっという間にエンストです。排気ガスの糞詰まり状態ですね。
※排気口/マフラーの水詰まりを防ぐには、とりもなおさず排気口への水侵入を防ぐということです。
まずは、マフラーの排気口以上の水位/深さのある所を走行しない、そんなところに進入しないということが大切です。
万が一、冠水道路に進入してしまったら、排気口から水が入らないようにすることが必要です。
方法は一つです。エンジンの回転数を上げてたくさんの排気ガスを間断なく出し続けることです。
このとき、吸気口への水の侵入を防止するため、滝のような水はねや波立ちを起こさないことが必要になります。
つまりはノロノロ運転をすることも必要になります。
エンジンの回転数をあげて、なおかつノロノロ運転をするために、オートマやCVTのシフトを低速にすることが必要になります。「 2nd 」とか、「 L 」ですね。
さらに間断なく排気ガスを出すためには車を停止させないことです。スピードゼロで停止したら、つまりはアイドリング状態なわけですから排気ガス圧が弱くなってマフラーに水侵入です。
また、冠水道路走行ではノーブレーキです。通常アクセルペダルとブレーキペダルは右足一本で操作しますよね。ブレーキ踏むと必然的にアクセルがOFFになります。そのとたんにマフラーから水浸入です。
どうしてもエンジン回転数を落とさずに減速したいのなら、シフトをN(ニュートラル)にするか、左足でブレーキペダル&右足でアクセル同時に踏んで調整ですが、日頃やらない慣れない操作に緊急時にはじめてトライするのは危険すぎます。やってみて却って事故になっても自己責任です。また、冠水道路ではブレーキが効く保証はありません。
そのためにも低速シフトで回転数高め維持して、ノロノロ運転です。
前に車が見える場合は、前の車のせいで停止状態に陥らないように、車間距離をいつもの数倍以上キープすることが必要です。
万が一の冠水道路侵入の際の操作手順をまとめると
①ATやCVTを低速域の設定に。「 2nd 」とか、「 L 」とか。MT車なら2速、1速。
②エンジン回転を高くしてなおかつノロノロ運転。波を立てない。アクセルを緩めない。ブレーキ踏まない。
③前方の車との車間距離を詰めない。車を停止させない。
ということになります。
冠水道路でのエンストの主原因は①吸気口水詰まり ②排気口水詰まり ですが、
たまにエンジンの電気廻りのショート(バチバチッ!)もしくは、それを感知したエンジン制御システムの緊急停止回路作動の場合です。
危険だから、感電事故を防ごうとして、キーを回しても(ボタンを押しても)エンジンが始動しなくなるわけですね。
相当高い水位で冠水した道路で起こることじゃないかなと思います。
通常は、この状況になる前に普通は、吸気口や排気口の水詰まりが起こってエンストしていると思います。
通常の乗用車がご入庫の大半を占めるうちの整備工場では、多分あんまり入庫例はないような気がします。
一番大切なことは、冠水してそうなルートを避けて目的地にいくことです。
どこの地域でも冠水定番道路があると思います。
大雨の場合は、一抹の不安を感じたら、その時点で別のルート組みをすることです。
「だいじょうぶかどうか現場を見てから判断しよう」ではなくて、「遠回りでも、たとえ通れるとしても、安全第一で迂回しよう。それが出来る私は、じつは地味に出来るひと」ぐらいに思って大事を取りましょう。
冠水事故は時々命にかかわります。
30分、1時間、あるいはそれ以上の時間が余計にかかったにしても、冠水事故の結果、お客様の人生自体が停滞してしまうロスをお考え下さい。無事これ名馬なりです。
車の冠水事故の場合、ほとんどのお客様が事前に「だいじょうぶかな?」と「一抹の不安」を感じていらっしゃったことが多いです。
「全然不安じゃなかった。突然冠水道路にハマった」という方も皆無ではないですが、ほとんどが事前の大雨で不安を感じていらっしゃった場合が大半です。
あるいは眼前の冠水道路を見て「どうかな~~~」と思いながらも進入&走行しているうちにエンストになったお客さまが多いです。
「一抹の不安」を感じた段階で、突入はアウトです。
とりあえず、自重です。安全策で迂回か、退避か、水のないところで待機です。
目的地到着が遅れそうだと勤め先や取引先や家族に一報お知らせ入れて、安全策です。
★排気口以上の水位の冠水道路は、ほぼアウトが前提です。
それでも冠水道路を走行せざるを得ない場合に気を付けること、操作手順。
①ATやCVTを低速域の設定に。「 2nd 」とか、「 L 」とか。MT車なら2速、1速。
②エンジン回転を高くしてなおかつノロノロ運転。波を立てない。アクセルを緩めない。ブレーキ踏まない。
③前方の車との車間距離を詰めない。車を停止させない。
ノロノロ運転は・・・・吸気口が波・水はねで浸水しないため。
回転数アップは・・・・排気口から排気ガスをたくさん出して水の侵入を防ぐため。
そのために■低速ギア ■ノロノロ運転 ■車間距離 ■停止させない■ブレーキ踏まない
エンストしたら、
■エンジン再始動しない。危険(感電)。エンジン再起不能になるおそれ。
■基本的に車は放棄。
■安全を確認しながら、車外の水の深さを慎重に足で測りながら、脱出。
■ドアはロックせず。カギも持ち去らない。移動の時に困る。
■水が引いてから、レッカーサービス(各保険会社のロードサービス、JAFさん、整備工場さん)に運んでもらう。自分で自走して動かそうなんて考えない。危険です。電気ビリビリのおそれがあります。エンジン壊れるおそれがあります。
〉〉 自動車保険会社さん各社のロードサービス・事故受付 電話番号
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